個別映画評
ハート・ロッカー
THE HURT LOCKER
| 点数 | ![]() ![]() ![]() ![]() |
|---|---|
| 年代 | 2008年 |
| 国 | アメリカ |
| 時間 | 131分 |
| 監督 | キャスリン・ビグロー |
| 脚本 | マーク・ボール |
| 音楽 | マルコ・ベルトラミ、バック・サンダース |
| 出演 | ジェレミー・レナー、アンソニー・マッキー、ブライアン・ジェラティ、レイフ・ファインズ、ガイ・ピアース |
モダン吸血鬼ホラー「ニア・ダーク/月夜の出来事」に始まり、「ブルースチール」「ハートブルー」「K−19」など、およそ女性らしからぬ骨太でハードなアクションを撮り続けてきたK・ビグローの、これはひとつの到達点と見ていいだろう。なぜなら、これまでになく完成度が高いからだ。
時は2004年。所はイラクのバクダッド。夏のうだるような暑さの中、分厚い防護服に身を包み、爆発物の処理あたる兵士。物語はいきなりそんな緊迫した状況からスタートする。そう、これはイラクに駐留するアメリカ軍爆発物処理班員のお話なのだ。このあと、くだんの兵士は直後に起きた爆発で死亡。その後任として赴任してくるのがこの物語の主人公、ジェームズ二等軍曹(ジェレミー・レナー)である。彼は、これまで873個もの爆弾を解体してきたこの道のモサで、ここでも決められた手順を無視。自分の流儀で爆発物に対処する。手間取る、と見れば躊躇なく防護服さえ脱ぎ捨てるのだ。だがそれは部下であるサンボーン軍曹(アンソニー・マッキー)と、エルドリッジ技術兵(ブライアン・ジェラティ)の命をも危険にさらす行為であり、当然二人とのあいだに軋轢を生むことに……。
こうして彼らが所属するブラボー中隊の任務明けまでの38日間が、カウントダウンする形で綴られていくのだが、不審なクルマや怪しい個所が見つかるたびに真っ先に任務に就く彼らの心情がヒリヒリと観客の心をも震わせる。
それだけではない。戦場を疑似体験させるような揺れまくるハンディカメラの映像が、生々しい臨場感を生み出し、息苦しいほどの圧迫感となって観客の神経を締め上げる。まさに“死と隣り合わせの日常”がここにあることを実感させて余りある。冒頭のテロップを、うまく生かしたラストカットも印象的だ。
低予算ながらも、今最もホットな話題作「アバター」と最後までアカデミー賞を争い、見事、監督賞と作品賞をもぎ取っただけのことはある戦争映画の力作だ。






