個別映画評
次郎長三国志
| 点数 | ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
|---|---|
| 年代 | 2008年 |
| 国 | 日本 |
| 時間 | 126分 |
| 監督 | マキノ雅彦 |
| 脚本 | 大森寿美男 |
| 音楽 | 宇崎竜童 |
| 出演 | 中井貴一、鈴木京香、北村一輝、温水洋一、近藤芳正、笹野高史、岸部一徳、斉藤浩市、ともさかりえ |
時代劇の巨匠マキノ雅弘を叔父に持つ俳優・津川雅彦が、叔父のあとを継いで「マキノ」姓を名乗り監督業に乗り出した第二作目である。初監督の「寝ずの番」でみせた新人らしからぬ軽妙洒脱な演出が今回も大いに期待されるところだが、叔父マキノ雅弘のライフワークでもあった往年の痛快娯楽時代劇「次郎長シリーズ」を、果たして越えることができるのだろうか。
押寄せる御用提灯の明かりに取り囲まれた料亭「寿々屋」の店先。おりしも、そこでは清水の次郎長(中井貴一)と、お蝶の祝言が行われていた。さかのぼること数日前、叔父貴の喧嘩の仲裁に入った次郎長は、人殺しの罪をかぶって追われる身となっていたのだ。捕縛の危機を悟った次郎長は、恋女房のお蝶に別れをつげ、御用提灯のかこみをくぐると、故郷を捨てて子分とともに旅に出る。次郎長の右腕でもある大政(岸部一徳)を筆頭に、小政(北村一輝)、桶屋の鬼吉(近藤芳正)、法印の大五郎(高野高史)と、子分たちもきわめて個性豊かな面々が顔をそろえて賑やかだ。さらに、旅先でからむ森の石松(温水洋一)が次郎長の男気にゾッコン惚れ込み、すったもんだの末に仲間に加わるエピソードなどをはさんで、物語は佳境に入っていく。名も売れ始めた次郎長一家は、ほとぼりの冷めるのを待ってふたたび清水湊へ帰ってくる。やがて、次郎長の名は東海中に知れわたり、海道一の大親分としてその名を馳せることになる。しかし、そうなるとおもしろくないのは黒駒の勝蔵(佐藤浩市)だ。甲州一の勢力を誇る勝蔵は極悪子分の三馬政(竹内力)を手先に使って次郎長潰しに動き出す……。
“意地と度胸”が売りの任侠時代劇は、男たちのはじけるようなイキの良さとキレのある立ち回りが身上だ。それにはキビキビしたカット割りこそ最もふさわしい。しかし、見せ場のひとつである次郎長と石松の出会いの場面や、終盤の“泣かせどころ”の、これでもか、とばかりに押しまくる演出には“くどさ”だけが目立ってしまいザンネンだ。冨士を背にして茶畑を行く縞のカッパに三度笠の男たちは昔どおりでなつかしいが、描かれた任侠世界は、まだ先代監督の手の中にあるようだ。







